第1章 カップラーメンの3分

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鈴子は、カップラーメンが出来上がるのを待っている。スマホでタイマーを3分にセットして、そわそわしていた。 場所は、鈴子の職場の社食だ。社食にいるのは鈴子一人だけだった。社食と言うのは名ばかりで、食堂があるわけでもなく、あるのはジュースを売っている自販機とカップラーメンの自販機と、小さな流しだけ。8畳ぐらいしかなく、テレビもない。簡素な長机とパイプ椅子が数個だけ並んでいる。昼休みは職員のほとんどが外にランチに行ってしまう。お弁当を持ってきている者も、社食ではなく自分のデスクで食べる人ばかりで、ここの社食は昼休みでも人気がない。鈴子はランチのときは仕事を忘れたいタイプだったので社食を利用していたが、そんな職員は鈴子ぐらいだった。あとは数人飲み物を買いに自販機のところに来る程度だ。 社食に一人、人がやってきた。ジュースの自販機にお金を入れ、ボタンを押す。ジュースを取り出すタイミングで、その人が鈴子に話しかけてきた。
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