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「あなたはどこから来ているんだろうって、ずっと不思議に思ってたの。小さな町なのに、あなたのことを知っている人は誰も居なかったから。これで謎が解けたわ。でも良かった。もう会えないかもしれないって思っていたから、来てくれて嬉しい」
マリーはそう言って笑うと、少し真剣な顔になって言った。
「それで? その姿で私の前に現れたってことは、私のお迎えに来たの?」
「違うよ。そうじゃない」
ルカは驚いて言った。けれども、マリーは少し、残念そうな顔をした。
「そう、違うの……せっかく、お父さんとお母さんに会えると思ったのに」
それを聞いて、ルカは咄嗟に言葉を返すことができなかった。
「自分で死んだら、天国に行くのは難しくなるでしょう?」
「そうだね」
「まだまだ先なのね、私が二人に会えるのは」
寂しそうな顔で言うマリーを何とか元気づけたくて、ルカは本題に入った。
「マリー。今日ここに来たのはね、君にプレゼントがあるからなんだ」
「プレゼント?」
「そう。きっと喜んでもらえると思う。……君の一番好きな物語の中に、一度だけ君を連れて行くよ。想像の世界じゃなくて、実際にその場所を見に行こう」
そう言えば、きっとマリーは喜んでくれると、ルカは思っていた。
けれども、マリーは予想に反して泣きそうな顔をした。
「そんな、夢のようなことができるのね……」
「そうだよ、だから……」
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