同じ目線で

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 いつも離れた場所からマリーを見ていたルカが彼女と話すようになったのは、割と最近のことだった。  夏と秋の境目の頃。いつも通りマリーの様子を見に地上に降りたルカは、ちょうど羽を隠したところでばったり彼女と出くわしてしまったのだ。その日マリーはたまたま外に出掛けていて、そのタイミングでちょうど教会に戻ってきた。  「こんにちは。教会に何か御用ですか?」  マリーは微笑んで挨拶してくれた。実はその時点で、ルカはかなり動揺していた。  天使の姿は、通常は人には見えないし、それまでも一回も気付かれたことがなかったのだから、万が一出くわしてしまってもマリーには自分が見えないのだと、ルカは思っていた。  けれども、過去に何らかの形で死に近付き過ぎた人間には、天使の姿が見えることがある。マリーは条件に当てはまっていた。  話している感じからすると、今までにルカの姿を見たことは無いようだと判断して、ルカは平静を装った。  「いえ。……実は、僕は読書が趣味なんですが。あなたがいつもあのベンチで本を読んでいるのを見て、何を読んでいるのか前から気になっていて」 「あら、そうなんですか?」     
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