同じ目線で

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 ルカはその日、夜の見回りを終えると、ベッドの中でひたすらに考えていた。  自分は、マリーに何をしてあげられるだろうか。  もう笑えるようになった彼女に、もうすぐ大人になる彼女に、もう何もできることはないのだろうか。  自分は離れた場所からただマリーを見守り、最近になって少し言葉を交わして、彼女の本を読ませてもらっただけだ。ルカ自身はマリーに何をしてあげられたわけでもない。マリーは自分の力で、今まで強く生きてきたのだ。  そこまで考えて、今度はもうマリーには助けなんていらないのかもしれない、とルカは思った。  今のマリーは、優しく明るく、前向きに生きているように見える。そんなマリーに、自分がしてあげられることは本当にあるのだろうか。  ルカは悩んだ。そして、悩み抜いた末に、明け方、あることを思いついた。  それは天使の自分の独断ではできないことだった。
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