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「その通り。俺は比良坂士朗(ひらさか しろう)。昔ある事情で神を強制憑依させられ、まさに残り香みたいに力の一部が残っちゃった元人間だ。今は骨董屋やってる」
さらっと情報てんこ盛りの自己紹介された。
―――って、骨董屋?
「御影綺子紹介の、いわくつき骨董処理のプロだよ」
「ああ! 初めまして。加賀地東子です」
「かわいいだろ。俺の嫁だ」
ちょっと黙れ。
肩に回してくる九郎の手を思い切りつねった。平然としてる。爪たててんだけどな。
「ね、なんで夜に呼んだの? 昼間のほうが作業しやすいでしょうに」
「いや、もう全部引き取ってもらったんだよ。今日はそのお礼。妹さん、こういうの好きだろうと思ってな」
「比良坂桃です! 初めまして」
聞けばこの少女、小学一年生らしい。六歳とは思えないほどしっかりしてる。
ていうか、かわいー!
綺子ちゃんみたいなふわもこツン美少女もいいし、桃ちゃんみたいな純粋王道ヒロイン系美少女もいいわぁ。
「お兄ちゃんたち、キラキラきれいだね」
「クリスマスの飾りもっと派手にしますか」
「そうだな。よし、ポチっとこう」
「宗教上いいんですかそれ」
ついツッコミ。
陰陽師でしょ。しかも神様の力持ってんなら、神道じゃないの。
「宗教・種族関係なく仲良く、色んなものと付き合っていくのは大事なことだ。様々な文化を知り、認め合い、お互い尊重すれば世の中平和になる」
九郎が補足する。
「比良坂士朗はイザナキノミコトの力を持ってるんだ。他者に寛容で平和主義、柔軟な思考なとこは同じだな」
「は?!」
ものっそいネタバレが今。
「超大物神様じゃん!」
「今や第二の神生(じんせい)楽しんでるリタイヤ組だけどな。最新のブログによると、某国と交流を図るために行って、伝統的な踊り教えてもらった後、宴会で酒飲みまくってるようだ」
「異文化交流と銘打って、バカンス楽しんでる感あるよな」
「……うん、まぁ、神様がヒマなのは平和ってことでいいんじゃない?」
うんうん。平和が一番。
……あれ、てことは残る二人も有名な神様憑き?
視線で気づいたらしく、眼鏡クール系のほうが会釈した。
「比良坂翠生と申します。僕はオモヒカネノカミが憑いてました」
天岩戸から天照大御神が出てくるよう作戦立てた神様で、中つ国の王として遣わされたニニギノミコトの教育係か。
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