第二章

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「その通り。俺は比良坂士朗(ひらさか しろう)。昔ある事情で神を強制憑依させられ、まさに残り香みたいに力の一部が残っちゃった元人間だ。今は骨董屋やってる」  さらっと情報てんこ盛りの自己紹介された。  ―――って、骨董屋? 「御影綺子紹介の、いわくつき骨董処理のプロだよ」 「ああ! 初めまして。加賀地東子です」 「かわいいだろ。俺の嫁だ」  ちょっと黙れ。  肩に回してくる九郎の手を思い切りつねった。平然としてる。爪たててんだけどな。 「ね、なんで夜に呼んだの? 昼間のほうが作業しやすいでしょうに」 「いや、もう全部引き取ってもらったんだよ。今日はそのお礼。妹さん、こういうの好きだろうと思ってな」 「比良坂桃です! 初めまして」  聞けばこの少女、小学一年生らしい。六歳とは思えないほどしっかりしてる。  ていうか、かわいー!  綺子ちゃんみたいなふわもこツン美少女もいいし、桃ちゃんみたいな純粋王道ヒロイン系美少女もいいわぁ。 「お兄ちゃんたち、キラキラきれいだね」 「クリスマスの飾りもっと派手にしますか」 「そうだな。よし、ポチっとこう」 「宗教上いいんですかそれ」  ついツッコミ。  陰陽師でしょ。しかも神様の力持ってんなら、神道じゃないの。 「宗教・種族関係なく仲良く、色んなものと付き合っていくのは大事なことだ。様々な文化を知り、認め合い、お互い尊重すれば世の中平和になる」  九郎が補足する。 「比良坂士朗はイザナキノミコトの力を持ってるんだ。他者に寛容で平和主義、柔軟な思考なとこは同じだな」 「は?!」  ものっそいネタバレが今。 「超大物神様じゃん!」 「今や第二の神生(じんせい)楽しんでるリタイヤ組だけどな。最新のブログによると、某国と交流を図るために行って、伝統的な踊り教えてもらった後、宴会で酒飲みまくってるようだ」 「異文化交流と銘打って、バカンス楽しんでる感あるよな」 「……うん、まぁ、神様がヒマなのは平和ってことでいいんじゃない?」  うんうん。平和が一番。  ……あれ、てことは残る二人も有名な神様憑き?  視線で気づいたらしく、眼鏡クール系のほうが会釈した。 「比良坂翠生と申します。僕はオモヒカネノカミが憑いてました」  天岩戸から天照大御神が出てくるよう作戦立てた神様で、中つ国の王として遣わされたニニギノミコトの教育係か。
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