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おばあちゃんが死んだ
おじいちゃんは既に他界していて
おばあちゃんは1人
この思い出の詰まった家で眠るかのように亡くなったそうだ
遺品整理に呼ばれた僕はこの広すぎる家を見渡した
お正月や夏休みによく来たけれど、従兄弟や叔父さん、叔母さん、そしておばあちゃんと食事をするときにはこの家がこんなにも広いなんて気づきもしなかった
おばあちゃんはこの広い家で1人暮らしていたのか
なんだか泣きそうになって昔よく泣くときに入っていた押入れの所を見に行った
そこも昔と何も変わっていなくて、懐かしくて寂しくもなった
入れるかなと思ったけど今や170センチを超えた高校生の僕の体は入ることができなかった
それが余計寂しさを煽った
布団がしまってある押入れはおばあちゃんの匂いをまだ微かに残していた
懐かしさに枕を持ち上げると枕の下から日記が出てきた
見覚えのある物だった
昔から寝る前におばあちゃんがつけていたものだ
小さい時の僕は早く寝たくて膨れていたけれど
おばあちゃんはこれを僕との思い出を大切に残しておく宝物だよと言っていた
おばあちゃんは宝物を毎日、1日も欠かさずに紡いでいた
最後の最後まで
これはおばあちゃんの人生を書き記した本
1人の生涯を綴った本
誰にも真似できない超大作だ
僕もいつの日か僕にしかできない僕の超大作をかき上げよう
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