さんりんぼう 2

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次の日タニヤンに書いてもらった住所を頼りに地下鉄桃山台駅からバスを乗り継いで千里の団地へ行ってみた。 (なんか時計、止まってる感じ・・・) 場所こそ違うけど7年前まで暮らしてた堺の団地と変わらぬ古ぼけた風景。 (増えるのは年寄りと外国人やな) メモにある番号の建物を探して歩く。 「私、お金貯めてから一浪して来年、  大学行くわ」 お互いに貧困層の受験生。受験料すら親をアテには出来ずについ、ただ1度きり、下着を見せるような高額バイトをしてしまった深雪は翌日そう言った。 卒業式の前日に唯一の肉親である母親がくも膜下出血に倒れた大倉は、卒業式には来なかった。 「大倉のオカン(母親)の看病してるうち  3人で生活するようになったらしい。  一緒に千里の介護施設で働いてる。  去年子供も生まれた」 塾長が言うてた。 (だから・・・貧乏の拡大再生産やて、言うたやん・・・夫婦二人で必死で働いて食べていかなあかんのや、学歴ないと・・・) 私の武器は“頭と顔“。親にもそう言われてきたからそこを磨いてきた。 (こんなトコ・・・こんな暮らし・・・  抜け出したかったから) 団地下の店先には激安食品と100円SHOP。ベンチには老人と酒浸りのオッサン。そして公園には、 「  !  」 深雪と大倉がいた。それから車椅子のお母さん、ヨチヨチ歩きの大倉似の男の子。3人は楽しそうに男の子の様子を眺めてた・・・
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