4人が本棚に入れています
本棚に追加
最後の授業も、時間通りに先生は教室に来た。
髪には寝癖。
白衣の下には手術室のクリニックユニフォーム。
これを見るのも、今日で最後だ。
急に訪れた最後。
頭はまだ、いまいち受け入れきれてない。
目の前にいる先生は、どこか非現実的で。
まるで、夢の中で見る景色のようだった。
最後の授業は、テスト。
どの授業でも一緒。
いつもは90分の授業だけど、テストは60分。いつもより30分早く終わるから、みんな喜んでた。
でも、先生といる時間が30分短い。
私は少し切なく感じる。
テストは、簡単だった。
せめて先生に悪い印象を与えたくなくて、今までの何のテストよりも、勉強に力を入れた。
それに加えて、テストは過去問とほぼ同じ内容だった。
たぶん、テスト勉強なんて改まってやらなくても、過去問さえ目を通しておけば充分合格圏内だ。
私は1.2問以外全部自信を持って解答できた。
全て終わっても、時間はあとた20分余っていた。
私は、パソコンをカタカタといじっている先生の方を見る。
それと同時に、ホワイトボードの文字に目が入る。
『もし授業の感想・意見があったら、解答用紙の裏面に書いてください。』
決して上手くはないけれど、なんとなく先生っぽいなと思ってしまう字。
初めて見た先生の字。
少し小さめに、控えめに書かれたところが、先生っぽいなと余計に強く思わせる。
最初のコメントを投稿しよう!