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唇を離すと、腕の中にいるあの女が視界に入る。
頸筋にある黶も見えた。
違うのは、お互いくすんだ着物を着ているということと、居場所が古い納屋のような所だということだ。
「見てきたか。ずうっとずうっと、先の私を」
女は不敵に笑い、俺に囁きかける。
この時、俺は我に返り、全てを思い出した。
俺は待っていた。
ずっとずっと、待っていたのだ。
「ああ、見てきた。ずっと先の時代を──。あんたを」
俺は唇の端から笑みを漏らしながら、下にいるこの人を抱き、身を絡めた。
絡めて動かす度に、鈴の音が聞こえた。
「ずっと先の時代でも、俺はあんたを抱いてたよ。姉上」
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