第一章 1と0の現実

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「じゃ、まったねぇ~」 梶野はコミカルな動きで手を振るとゴーグルを外した。 コメント数を見ると、今日のネタは上々の受けのようだ。 「いっひ、飯買ってコメントチェックするかぁ」 スーパーは地区ごとに3つのエリアに分かれていた。 さらに細かく時間が区切られており、密を避ける工夫がされていた。 「えーっと、11時、C地区か」 梶野は防護服を着こむと部屋を後にした。 ー*- 「お願いしまーす」 梶野が食事を買い店を出るとチラシを配る人間がいた。 (このご時世、メールでもなくVRででもなくリアルのチラシ、反対勢力か) 反対勢力とは、強引にVR化を進めた政府に反対する団体だ。 「会議は顔を合わせ、リアルでの熱量を戦わせてこそ通じる」 「満員電車に揺られてこそ一人前のサラリーマンだ」 「在宅勤務だと?そんなことにしたらさぼるに決まっているだろう」 「残業はやらないつもりなのか?」 「外出は防護服が必要ではあるが、建物内ではぬげるのだからVRに逃げる必要もないだろう」 というのが主流の意見だった。
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