第一章 1と0の現実

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「私どもはVR世界での日常に反対しております。というのも現状防護服を着用の状態ならばこちらでの生活も可能となっております。詳しいデータはそちらの紙に書いておりますが、防護服でのウィルスカットはほぼ、ほぼできていると言えます」 「確かに。でも満員電車に揺られないで会社へ行けることは結構ラッキーじゃ?それに空いた時間で自分の好きなことできるのってよくない?」 梶野は聞いた。 「ごもっともなお話です。私どもの団体の上層部は満員電車に揺られてこそ一人前の社会人!という者もおりますが、私はそうは思っておりません。在宅ワークで行けるものはそれでもいいと思います。しかし、出勤は気分転換にもなります。在宅勤務でVR出社では太陽にあたることもなく会社帰りのストレス発散も不可能です」 「なんか・・・こじつけっぽくない?」 「そう取っていただいて構いません。ただ私どもは現実世界のほとんどの生活を拒否し、VR上で生きることの危険性を説いているのです。ネットワーク上で書類のやり取りして、セキュリティは大丈夫ですか?現実とVRの区別ができなくなる可能性もあるかもしれません。極端に運動量も減っているでしょう。VRにすべてを移行するのではなく、現実世界に重きを置くべきなのです!!」 岬は力強くこぶしを握り締めた。 どうやら、反対勢力も「頭ごなしにVRを反対」しているわけではなく「VRに重きを置いた生活」に反対のようだった。
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