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翌日から新入りのノーラは煙突掃除のやり方を学ぶことになり、三人は注文を受けた屋敷に向かう。親方も、じきにセティが煙突に入らなくなることを分かっているのだ。
到着したのは赤茶色の煉瓦の屋敷。主人は出掛けているため、召使いが少年二人を暖炉まで案内してくれた。
「煙突内には、ちっちゃなレンガの突起がある。そこに足を掛ける」
「こんなに狭いのに、どうやって」
ノーラは愕然としている。それもそのはず、煙突は子供でも入れるか入れないか分からないほど狭い。暖炉に親方が下ろしたロープの端が垂れてきた。彼の腰に巻いて上らせるということだ。
「僕には無理だよ」
怯えて足がすくんだ少年。顔面蒼白で垂れているロープを見つめる。セティは鼻から溜め息を洩らした。そして、上に向かって声を上げる。
「親方! ここは俺がやります」
「好きにしろ!」
煙突内で響いた声はいつもより大きく、セティは両手で耳を塞いだ。それから棒立ちになっているノーラに見せつけるように煙突内に入っていった。
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