0人が本棚に入れています
本棚に追加
夕暮れ
夕日色に染まる教室。
教室のはじの席で静かに本を閉じた少女・・・さくらは、そっと夕日が差し込む窓に目をやった。運動場が見える。運動場には、元気にボールを追いかけているサッカー部員たちがちらちら動いているのが見えた。
さくらは深いため息をついて、本を抱きしめた。
ガラッ
突然教室のドアが開く。そこには金髪の髪を揺らした女子が息を切らして立っていた。
「うお、安藤さん。何してんの?」
金髪の少女、樹里亜(じゅりあ)はさくらをジッと見つめた。
「あ、え、えっと、本を、読んでて・・・」
「ふーん」
興味がなさそうにさっさと自分の机に向かう樹里亜。
樹里亜はたくさんのプリントがつまったぐちゃぐちゃの机の中をあさった。
「よかった。あったー」
そうつぶやいて、走って出て行ってしまった。
さくらはまた、静かになった教室で一息つくと、すっと立ち上がった。
「いいなぁ、高梨さん」
静かな教室に、羨みの声がこぼれた。
最初のコメントを投稿しよう!