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普段は鍵をしてある神代のアトリエの部屋。その日は鍵がしていなかった。
入ることは禁じられていたが、掃除してあげようとなつきは入室する。
眼前に広がる、娘の笑顔の絵画。【我が至上】と書かれたその絵に息を呑み、慌てて自分の絵を探した。
・・・アトリエの隅に放置された、思い出の絵画。
悲しい気持ちになりながら絵に触れると、【・・・からの美麗】というタイトルの空白部分が白い塗料で塗りつぶされていることに気付いた。近くにあったパレットナイフで塗料を削る。
劣化した塗料はボロボロと崩れた。
浮き出たタイトルに息が止まる思いをし、ナイフをギュッと握りしめた。
「ねぇ、刑事さん。何て書いてあったと思います。ふふ、【醜悪からの美麗】。あの人ね、私の泣き顔にしか興味無かったんですよ。夫を殺した動機、これ以上のものはないです。うふふ・・・」
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