第2話 よしおてつの「てつ」について

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 僕は子供の頃から、おかしなものを見る癖があります。具体的に言うと、幽霊や妖怪の類を見る癖です。  頻繁に、という訳ではありませんが、年に一度か二度は見てしまいます。見るという事は唐突に起こりますし、動物と違って人の霊は、見てしまうと気分の良いものではないのですが……。  人霊や妖怪のことはまた後日お話しますので、今日は動物の霊の話をさせてください。今日の話は、「よしおてつ」の「てつ」の部分。十五年近く連れ添った、猫の「てつ」についてです。  てつは、今から二半年ほど前に星になりました。大の仲良しだった「よしお」がこの世を旅立ってからすぐに体調を崩し、日に日に命の灯が細くなるようにして亡くなってしまったのです。  しかしながら、てつは肉体を失ってからも我が家に居続けました。それは、てつが亡くなってから半月ほど過ぎた頃に判明しました。  ある日の朝、妻がお早うの挨拶もしないうちから「昨日、てつが会いに来たよ……」と、僕に告げたのです。
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