第3話 Gさんという霊能者

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 夢の中で出会った女性といったい何を語り合ったかは、目覚めた時には全て忘れていました。そもそも彼女が何者であったかすら、わからないことです。  しかし、たとえわかったところで所詮は夢の中の出来事です。意味を問うことに意味はなく、掘り返したところで幻しか出てきません。あの日の夜に見た不思議な夢は、決して現実ではないのです。  あの日から数十年経った現在、すでにGさんはこの世の人ではありません。それでもネットを検索すればGさんの動画を見ることができます。  ネットを彷徨い、何かの拍子にGさんの姿を見つけるたびに、僕はあの日の夜に見た不思議な夢を、切なく懐かしむようにして思い出してしまうのです。
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