第3話 Gさんという霊能者

4/5
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
 夢の中で、僕は見知らぬ森の中にある川の、川縁に立っていました。水はとても清らかで、大きな石がゴロゴロと転がっていて、どこかの川の上流といった趣でした。  周囲を見回すと数名の人が水遊びをしていました。全員が見知らぬ人でしたが、周囲に人がいることで、知らない場所でも恐怖感はありませんでした。  ふと気がつくと、僕の傍には一人の女性が立っていました。僕よりもだいぶ年上のオバサンでしたが、和服姿の優しそうな女性でした。いつしか僕は、キラキラと輝く川面を見つめながらその女性と談笑していました。  和服姿の女性は、口の大きい女性でした。彼女が口を開けて笑う度に白く尖った牙が見え隠れしました。彼女は人の姿をしていましたが、明らかに人ではない者でした。  異形の存在を目の前にしても、恐ろしさは全く感じませんでした。彼女の傍にいることがひたすらに懐かしく、僕は柔らかくて温かな心地良さを感じていました。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!