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徐々に、警戒に響いていた心地よい音が、汚らしい、生ものが潰れるような音に変わっていった。頭痛とは違う痛みが、壁に打ち付けている部分からする。打ち付ける度に痛む。でも、辞めると頭痛が再び襲ってくる。
痛い。
目が回って、ゴン、と一際大きい音が後頭部から脳に響いた。ああ、心地いい。でもまたすぐに、頭が痛い。
暫くして視界に入ってきた複数の足と、腕に刺さった針をただ眺めていた。
また、頭が痛い。だからまた、頭を打ち付けてみた。なのに、どうして。
ない。脳に響くような心地よい痛みを感じない。返ってくるのは跳ねるような不快な柔らかさ。首を痛める程重いきりぶつけても、何かに柔らかく包まれるだけ。
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ。なんで、なんでだよ。なんで、なんでなんでなんで。痛い。頭が痛い。痛い、痛い。
暴れたいのに、もうそんな力がない。口から涎が垂れないように、唇を閉じるので精いっぱいだ。
「……~~、~、~~」
自然と頭に流れた音。これがなんだったかもわからない。でも、なんだか眠たくなってきた。
意識が深く沈む。このまま、覚めなければいいと思ってる。叶うなら永遠に。
もう何も求めない、いらない。
だからもう、放っておいて。
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