モラル

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子育てに関しては何から何まで初めて体験する事ばかり。上手くいかない事も当然あって、何度も弱音を吐きそうになった。 頼りたい事があれば何でも言ってくれと声をかけてくれた父の妹。なんとなく、頼りたくなかった。彼女だけじゃない、どの親戚にも、どんな機関にも頼りたくなかった。 自分達の事は自分達で何とかしてみせる。 唯一自ら頼ったのはインターネット。世界中の情報が集まるこの場所は、どんな問題も解決してくれた。 学校で学べなかった履歴書の書き方、何かしらの手続きの仕方、おむつのつけ方、求人情報、なんでも揃ってる。  高校卒業後は迷わず就職を、と以前から決めていた。幸い、特別やりたい事もない。それに弟が生まれた今、自分の学費に費やしている金が勿体ないと思った。 翔吾は、市内の安い学費が売りの大学に入ると言っていた。それはそれでいいと思う。翔吾にも翔吾の人生がある。バイトで稼いだ収入を一部、家に入れるという条件で入学を応援した。 念のため中卒をメインに求人誌を漁り、思ったように見つからない現実に、高校生までの、大人に守られていた安心感はなくなり、次第に焦り始めた。 金はいくらあっても足りなくなった。父さんと母さんの残した遺産は全て、母さんの姉に持っていかれた。勿論、売り払った家で得た金も。     
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