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悲しいことは続いて、お爺ちゃんが死んでしまった。前の日まで一緒に遊んでいたのに、もう会えないとは思えなくて、白い箱の中で目を閉じているお爺ちゃんを一生懸命起こそうとした。
お爺ちゃんが大好きだった。僕の一日の中で、寂しい時間が増えた。お爺ちゃんが買ってくれた絵本。毎日のように読み聞かせてくれた思い出の本。文字はまだよくわからなかったけれど、絵を全部覚える程、何度もページを捲った。
一生、大切にしようと思った。
健吾兄ちゃんの仕事が忙しい日や平日は毎晩、翔吾兄ちゃんが晩御飯を作ってくれた。
一緒に食べ始めても、翔吾兄ちゃんは仕事へ行くためにみるみるうちにお皿の中身を空にしていって、僕が半分食べ終わらないうちに食べ終わってしまう。そのうち健吾兄ちゃんが帰ってきて、晩御飯を食べ始めるけど、その頃には今度は僕が食べ終わってしまう。
兄ちゃんが忙しいのもわかっていて、僕が我儘を言えば兄ちゃん達に迷惑がかかる事もなんとなくわかってきていた。それでも少し、寂しかった。
僕が大きくなる毎に、兄ちゃん達と一緒にいられる時間が少なくなった。もうお爺ちゃんはいない。心の中で甘えそうになるけれど、我儘なんて言えなかった。
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