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暫く気持ち悪さに寝返り、脂汗を滲ませていた。時間が経てば治ると思っていたけれど、限界が来た。何かを胃に入れないと、この具合は解消しないとわかった。だから、水を飲もうと身体を起こし、部屋の扉を開けた。
空腹で空っぽの胃が締め付けられるようにへこんで、腹が盛大になった。そんなつもりじゃなかったのに、兄ちゃん達の食べているカレーの匂いに胃が欲しがった。
同時に、気持ち悪さが押し寄せた。具合が悪いからじゃない。僕を見る健吾兄ちゃんに何かを言われるのが怖いから。
懸命に腹を押して、鳴りやむのを待った。早く鳴り止んで。早く、早く。
でも鳴る腹が収まらなくて、堪らずに部屋に戻って布団の中にもぐりこんだ。
未だに鳴り続ける胃に拳を振りかざそうとした時、僕を呼ぶ声が聞こえた。体中の筋肉が緊張して、歯がカチカチと音を立てて震えた。何をこんなに怖がっているのか自分でもわからない。けど、健吾兄ちゃんの機嫌を損ねる事だけは絶対にしてはいけないと思った。
もう一度掛けられた言葉は予想していなかった言葉だけに、どう反応していいかわからなかった。強引に押してくることも無く、カレーを食べるならおいで、というように、僕に選ばせてくれた。
涙が目頭から溢れて、布団を濡らした。どうしてか、これだけの事なのに凄く嬉しかった。
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