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本当に僕の事を知ろうとしていない。僕の事を考えていない。とりあえず、声をかけておこう、そんな感じに思える。
いらないよ、そんな気遣い。今まで通りの兄ちゃんで居てよ。そうすればお互い、気を使わないで済む。僕も僕できっと、放っておかれている方が楽なんだ。
兄ちゃんは、僕が隙あらば自殺しようとしていると思っているみたいだけれど、心から自殺しようと考えたのは学校での一件以来、ない。
自分でも何が引き金になるのかはわからないけれど、普通に暮らしている分には問題ないと思う。
けれどもう、前みたいにびくびくしている自分じゃない。今はとても清々しい気分で、何も怖いと感じない。
変化ない毎日を過ごす“病人”の生活に飽きてきたのもある。だから少し、刺激のある事をしたかった。というのは建前で、『お前の味方』。そう言った健吾兄ちゃんに少し、言葉の重みを知ってもらおうと思った。僕みたいな人間にそんな言葉を使ったら、後悔するよって。
やったことを正当化するつもりも無い。僕がしたことは犯罪で、その責任は全て兄ちゃんに行くこともわかってた。
兄ちゃんを困らせたかったわけでもなかった。結局は困らせたし、迷惑もかけたけれど。
でも僕は、確かめたかった。兄ちゃんの言葉を。
『お前の味方だから』
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