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そして、勇者は地下へとたどり着いた。そこで勇者が見たのは辺り一面に描き詰められた魔法陣。そして、七つの牢屋。中は暗くて見えないが、瞳だけが怪しく光っていることは確認できた。その瞳は、まだ諦めていない瞳。反逆の意志を持っている勇者と同じ瞳をしていた。
大丈夫だ。彼らとならここを抜け出せる。勇者は確信した。そして、魔法陣の中心へと連れていかれる時にこう叫んだ。
「我が抱くのは絶望ではない!明日への希望である!」
たちまち剣は輝き出した。勇者の剣は決意の剣。意思の強さとともに輝き、強度が変化する。目の前の七つの大罪と共にここを出る、という決意を固めた勇者の心は何よりも固く、強いものだった。そして、呼応する剣からでた光は勇者を拘束する者、封印するための手筈を整えていた者の動きを止めた。
剣の光は可能性を示す光。その光を見たものは未来を感じずにはいられない。それが、たとえ魔王に忠誠を誓うものであろうとも。
その間、勇者は走り出し、封印をとくために牢屋の鍵に手をかけていた。
チャンスは1度きり。失敗すれば自分が封印される。恐怖から僅かに震える手を止めるように勇者は親指を噛んだ。そして、そこから流れる血を鍵に付け、自分の魔力を流し込んだ。
「永遠はここで打ち切る、俺たちは今から未来をつくるんだ!」
勇者が再び叫んだ。辺りは光に包まれたと思ったのも束の間、光は消えた。勇者の剣の光も消えていた。
さらに、拘束する者、封印を施す者達は勇者を捕まえるために攻撃に入ろうとしていた。だが、封印をとくために魔力を流し込んだ勇者に抗う術はもう残っていなかった。
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