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金髪の少女
中学一年のとき、何気なくテレビのチャンネルを変えていると、美しい街並の映像に目が釘付けになった。
中世ヨーロッパの面影を残すその街は、チェコ(当時はチェコスロバキア)の首都プラハだった。
その番組はチェコ人の母と娘がプラハから広島までやってきて、広島の人々と交流しながら、平和の尊さを伝えるというようなドラマだったと思う。
思う……と書いたのは、内容についてはほとんど覚えていないからである。
ストーリーについてより、娘役のイトカという少女に僕は目を奪われていた。
長く美しい金色の髪をポニーテールに結わえ、愛らしい笑顔で日本人の少年に呼びかけている姿に僕はすっかり魅了されていた。
神秘的な美しさが、中世の面影を残すプラハの街によく溶けこんでいた。
当時のチェコスロバキアは社会主義国で、日本にはあまり情報が入って来なかった。
それだけに余計に神秘的な雰囲気を感じたのだと思う。
イトカは僕の中で理想の女性像として形作られていった。勝手に僕の脳内で美化されていき、性格もきっと自分の理想に近いと思い込んでいた。
それからというもの、僕はチェコスロバキアという国に夢中になった。
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