僕が知らない色

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僕が知らない色

「白色ってなに?」 僕がそう尋ねると大人達は決まって困った顔をする。 僕が生まれる何十年も前。 偉い人が白色の使用を禁じた。 部屋の壁は白以外。 おじいさんの頭はみんなカラフル。 パトカーは黒1色。 ノートも水色の紙にペンで書く。 白色なんて存在しない。 みんなそれがあたりまえだって言う。 白色が失われた世界。 世界に大きな変化はない。 もし僕が。 白色と同じように世界から消えても。 誰も困らないのかな。 僕は聞く。 「白色って何?」
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