記憶をなくした大罪人

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「あの大罪人がいるぞ! 逃がすな、殺せ!」  斧に剣、槍といった物騒な得物を手に、一人の少年を追いかける人々。  少年はわりと小柄で、ショルダーバッグとウェストポーチを下げている。この少年は別に今しがた盗みをしたとか暴行を働いたとか、そういうことではない。  ただ、昔から「大罪人」であった。 「よっと」  大人には通れない細い路地裏に素早く入る。  追手が来ないうちに物陰に隠れながら奥まで進み、柵を乗り越えてさらに進んだ。
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