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「慣れるまでの辛抱だよ」
「慣れじゃなくて、もう疲れだよ」
身体と共に用意されたマンションの一室で、人を駄目にするソファーに沈みながら部下たちが欠伸をこぼしている。彼らが擬体に入ってから、もう二週間が経過しようとしている。働き詰めで披露困憊の彼らを横目に、僕たちは作業の進行度をモニターしていた。
「今日の仕事は?」
「目標の七割。そっちは?」
「八割ってとこ」
「また、仕事が遅いってどやされる」
その声に、部下たちから「すみません」との声が上がった。
「いやいや、君たちが十分頑張ってくれてるよ」
「彼が殺された影響が余りにも大きかったんだなー」
後の捜査によると、悪魔の囁きを受けたのは実行犯の青年以外にも複数いたらしい。そのすべてがあの少年を貶めるためであり、今回の事件も用意周到に計画されたものだった。
彼にどんな秘密があったのか。先週、ようやく届いた気象庁からの報告によると、彼は後にとある作品によって有名になる可能性があったようだ。
「作家ってことか?」
「これはまた絶妙だよな」
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