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餓鬼。ぎょろりと飛び出た目玉。手足は骨と皮だけにやせ細っているが、腹は風船のように膨れている。常に飢えと渇きに苦しみ、手にした食べ物は炎と化してしまう。そんな説明がされていた。
「これ?」
俺は画面と冷蔵庫を交互に指差して訊いた。くだらない、そんな思いが顔に出ていたと思う。
Mは笑うどころか、
「でも、その絵と本物はそんなに似てないんですよね」
などと言う。
「キモ」
半笑いでスマートフォンをMに返した。
「結構苦労して閉じこめたんですよ」
Mは大まじめだ。元々、冗談好きな男だったが、こういった怪談じみた話題を口にした記憶は無い。
俺もあまりオカルト系の話は好きではない。そういう超自然的なものに興味は無いのだ。
「お前、ゴーストバスターやってんのかよ」
茶化す俺に、
「いや、まあ、成り行きで」
と、これまた真剣な顔でMが返してくる。
「閉じこめたのはいいんですけど、このあとの処理考えてなくて」
何かいい方法ないですかね? Mの雰囲気に少し薄気味悪さを覚えた。
「粗大ごみに出せよ」
真面目に答えている俺のほうが笑い顔なのが奇妙だ。乾いた舌を湿らそうと口をつけたビール缶の中はもうからっぽだった。
「ビール、持ってきます。あと、冷凍でよければギョーザがありますけど」
「ああ、いいね」
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