セクシーゴリラ

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うそやろ。・・まさかおれのこと好きなんかな。 嫌われてると思ってた。思い込んでた。 会計係も兼任だから悪行の数々も知ってるはずなのに。。 旅先でキャバクラ三昧。 頭はぐるぐる回る。 確認のため言ってみる。 「みちょぱ似のキャバ嬢にドアの隙間から札束をねじ込んでチェーン外して開けてと いってたのも見てたのに? ソープでローションが古かったのかちんちんが腫れたときも 乳液を貸してくれたのに?」 「・・死ぬほど愛してますよ」 即答してくれた。 頭が真っ白になるおれ。 白石さんは言葉を続ける。 「飛行機で寝ている顔も好きですよ。金銭的にも人生充実してる人の幸せそうな顔が。 資料を探すときも、木の実を探してるゴリラみたいで好きですよ」 「ゴリラって、ゆうてもうてるやん。 まさか、白ゴリラ黒ゴリラって売り出そうとしたの白石さん?」 「正解」 寒さと感動で口をもごもごさせながらおれは言ってみる。 「ゴリラと一線超えてみる?」 「オフホワイトな関係ですね」 角度を変え、目と目と合わせると、白石さんは瞳を閉じた。 そのときおれのフラグが立った。 雪だるまを背にした彼女との初めてのキスは妖精とキスしたようだった。 透き通るような白い肌。 彼女の冷たい手をギュッとつかんだ。綺麗にネイルされた指先が見えた。 白いシルバーのラメのグラデーションが綺麗だった。 夜の雪もスノードームのように綺麗に舞っていた。 「今日、部屋行ってもいい?籠って曲を書くよ」 「いいですよ。ほかの誰かみたいにドアチェーン開けてもらおうと思って 帯封挟まなくても」 そういって彼女の素敵な笑顔がこぼれた。 今夜は素敵なウィンターソングが書けそうだ。 こうして、白ゴリラはプライベートでは黒ゴリラになることはなくなった。
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