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ミアナンデとアットは仕事仲間であるだけでなく、とても仲のいい友人でもありました。
私達四人が施設に入る前は彼ら二人だけが育てられていた上、私達とは違って歳が同じでとても仲のいい間柄でした。
「よう、初めましてだな!」
「こいつはアット、おれはミアナンデってんだ。よろしくな」
「お前、名前は?」
私が初めて施設に入った時から彼らの威勢の良さは変わらず、彼らのその高圧的な態度に気圧されたものです。ええ、正直言って気に入りませんでした。
「あり……ません」
「ない? また王様も変なやつを送ってきたもんだなー」
「じゃあおれらで決めてやろうぜアット」
「いいねそれ、何がいいかなあ」
「あ、昨日たしか食堂でおっさんが読んでたあれあったじゃん、なんつったっけ、雑誌?」
「あったね! あーあの表紙のかっこいい文字か!」
「そうそれよ。なんて読むんだっけ?」
「えーっと確か……」
リーアバ。かつてこれほど雑に名を授かった子供がいたでしょうか。
彼らの態度は決して変わることはなく、その後入ってきた残りの三人もきっと当時は嫌っていたことでしょう。アーなんかは文字通り命の危険を感じたに違いありません。
ろくに遊び方も知らない彼らだったので、休みの日でも格闘で競っては訓練時よりも多く傷を作ることも多々ありました。この旅の途中でも彼らの会話といえば、お嬢様を一番笑わせられるのは私だ、この料理は自分の方が上手い、自分の方が多くの異国の言葉を話せるんだ、そんなことばかりだった気がします。
そしてオンスキャを抜ける時、ちょうどレッルンサの近くを通った時のことでした。
「止まれ貴様ら! どこへ行くつもりだ、逃しはせんぞ裏切り者ども!」
武骨な機関銃を肩にかけた男が私達の歩みを止めました。その男の後ろには同じような装備を身につけた屈強な男たちが四人ほど仕えています。
「な、何をおっしゃっているんですか!」
アットが咄嗟に反応します。
「黙れ! レッルンサ風情が王に盾突きおって……!」
「レッルンサ? 違いますよ僕らはフィクホンの王家です!」
「フィクホンだと……? ここから何万キロ離れていると思っているんだ! たわけが…撃ち殺せ!」
「待ってくれ! 信じないのなら撃ち殺せばいい。でも一つだけ聞かせてくれ!」
ミアナンデが叫びます。
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