婚活パーティー

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シェフと話終えてチラッと幸美を見てみた。一人で角に立ち誰と話す様子も無く寂しそうだった。 「幸美、こっちに来て!」 「…分かった。」 「初めまして、橘花万雪です。宜しくお願いします。」 「こちらこそ、よろしく。婚活パーティー初めてかな?」 「はい。知り合いが、この店のシェフの奥さんで声がかかってたまたま参加しました。この子は私と中学からの友人で…」 「八城幸美です。宜しくお願いします。」 緊張と口下手な性格の為自己紹介もたどたどしかった。 「幸美さんか、可愛い名前だね。僕は胡桃沢拓斗(くるみざわたくと)36歳。商社マン。」 「拓斗、お前彼女みたいな大人しい子が好きだからアプローチしてるんだろ?万雪さん、幸美さんは拓斗に任せて向こうに行こう。」 何故か、手を引かれて二人だけでといった感じになったけど、誰かが私の手を掴んだ。 「万雪さん、嫌だって顔に書いてるけど違うかな?」 「伊波さん!?」 私の手を伊波さんが引っ張って他所に連れて行かれた。 「万雪さんは、あんなタイプの異性が好みなら態々止めに行くまでも無かったけど嫌がってるように見えたから助けた。」 「嫌がっては無いけど、タイプでは無いかも。助けてくれてありがとう。」 「どういたしまして。それより、万雪さんの事がもっと知りたくなったって言ったらどうする?」 「どうすると言われても。」 「他にいい人がいなかったら俺を選んで欲しいかな。」 態とらしくからかう伊波さんに、戸惑う。私はこういうタイプが最も苦手だった。 「伊波ちゃん、こんな所にいたんだ。私に目もくれないでそんな年増のお姉さんがいいわけ?」 「年増?」 「自己紹介遅れてすみません。私、川崎涼香(かわさきすずか)です。証券会社に勤める受付嬢で23歳です。」 「はぁ。私は…」 「伊波ちゃん、私と一緒にあっちに行こう?年増のお姉さんより私みたいな可愛い若い子がいいでしょ。」 涼香さんは、伊波さんの腕に絡み付き私に見せつけるように腹黒い顔をしてニヤリと笑った。挑発的なブリッコタイプ。 「悪いけど、俺は万雪さんと話してるから人を見下すような性格の悪い女性に興味は無いよ。」 「年増のお姉さんがいいなんて見る目無いんだ。」 「貴女もいずれ年増のお姉さんと呼ばれる歳になるわ。今の言葉同じように言われるわよ。」
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