婚活パーティー

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初対面の相手にケンカ越しになる自分が珍しくて、何をそんなむきになっているのか分からなかった。 「少し、冷静になった方がいいかもしれない。」 「離して!」 「そんなに俺が嫌なら振りほどけばいいだろ?」 「無理よ!私の力じゃ引き離せないの知ってて態と力いれてるじゃない?」 「何だ、知ってたのか?じゃあ、このままパーティーを抜け出して何処かに行こう。」 伊波さんに引っ張られるままに私は何処かへ連れて行かれた。一応、綾歌さんには連絡しておいた。 「何処に連れて行くつもりなの?」 「俺の車に乗って、取り敢えずドライブかな?」 「…分かったわ。」 大きなステップ付きのランクルに乗せられ私は、唖然とした。一体幾らかかるかわからない高い車に私より年下の彼はかなり稼いでると。営業成績がいい、おしゃべりな営業マンかもしれない。 「さてと、何処に行こうかな?…の前に、万雪さんの驚いた顔が気になる。」 「百面相じゃないわよ。サラリーマンでこの車持てるって凄いなって感心してただけ。」 「それなりに営業成績はいいから稼げるよ。まさか、素敵とか思ってる?」 「調子に乗らないで!」 年下の彼にからかわれてむきになる大人げない私。嫌いなタイプに翻弄されてどうかしてる。冷静になれない。 「帰り店まで戻った方がいいかな?」 「私は車で来てないわ。」 「送り届けていいならそうする。」 「…任せて大丈夫なの?」 「もちろん。と言っても信用無いか。強引にキスしたから。」 助手席で窓際に顔を向けて外をぼんやり眺めている。たった数時間の事だけどまさかこんな事になるなんて想像もしなかった。彼といると私がしてきた恋愛がおままごとみたいに思えてバカらしくなる。 「貴方といると何もかもお見通しで自分が嫌になる。今まで一緒にいた人は私の何処に関心があったかわからないけど、何も見えてなかったのかもね?」 「急にどうしたの?」 「同じ優男ばかりで退屈してたの。薄っぺらい愛だったなって。本当に愛されてたのか分からなくなる。刺激的な物が欲しかったのに、理解してくれなかった。ただ、優しくて甘いだけじゃあ女は満足しないのよ!」 「成程。万雪さんは誰一人も満足する恋愛をしてこなかったと。好きなタイプばかりでは物足りない。それなら反対のタイプと付き合えばうまくいくかもしれないんじゃないかな?」
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