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駆けつけたKさんは部屋の中を見渡すと、予想外な言葉を口にした。
「鰻と梅干と言われたら、何を思い浮かべる?」
「・・・・・・食べ合わせの悪いもの、ですか?」井川くんは肝をつぶしていた。
「そのとおり。昔から言われていることだ。本当かどうか知らないけどね。今で例えるならメントスとコーラかもな」
「それがどうかしたんですか?」
「じゃあ食べ物じゃなくて、組み合わせの悪いモノと訊かれたら、なんて答える?」Kさんの不可思議な質疑は続いた。
「・・・・・・ちょっと分からないです」
「スマートスピーカーと事故物件だよ。俺の予想ではスマートスピーカーが霊の声を拾ったんだと思う。お前が部屋にいない時にね」
「なるほど・・・・・・」
「組み合わせの悪いものは、もう一つあるよ。椅子とロープだ」Kさんはロフトを見上げ、転落防止用の柵を見つめていた。
「首吊りですか」井川くんも一緒に見上げていた。
そう話した瞬間だった。突如部屋の電気が消えた。
暗闇の中で二人が押し黙っていると、スマートスピーカーから、甲高い女性の笑い声が聞こえてくるのだった。
「スマートスピーカーの笑い声を聞いた人たちが住んでいる部屋は、間違いなく事故物件ですよ。僕はそう確信しています」井川くんは話の最後にそう付け加えた。
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