正義と悪は紙一重

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「戻る必要は無いよ」 その時後ろからボーイソプラノの効いた声がした。 「え?」 後ろを振り向く私の目には、黒い猫耳と長い二本の尻尾を揺らした黒い服を着た少年が立っていた。 「き…君は?」 私は夢でも見ているのかという錯覚を覚える、KEIさんかあゆこさんが私に素敵な夢でも見せてくれているのかしら? 「驚かせちゃったみたいだね、僕はキャシー、猫又族の末裔だよ」 キャシーと名乗った少年は答えた。 年の頃は多分中学生くらいだろうか? あどけない笑顔は愛くるしくどことなく先程の猫のようにも見えなくもない。 「お姉さん、君の事も聞いていいかい?」 キャシーは聞いてきた。 答えないと失礼よね?と思い私は答えた。 「私は海溝潤実」 「そうなんだ、潤実ちゃんと呼ぶね」 初対面で、しかもタメ口だけれど不思議と嫌な気持ちにならない、そんな力が、この男の子にはあるのかも知れない。 私もキャシー君のようだったらな…。
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