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「あ…」
今開けますとだけを告げてモニターを切り玄関のドアを開けた。そこに現れたのは秋人さんだ。
「やっぱりさっきの声は司だったんだ。いつこっちに着いたの?」
「こんばんは秋人さん。つい数時間前ですよ」
「ふーん。あ、やあ、司羽~。秋人お兄さんだよ~」
もちろん寝ているのだから返事はない。というかこの人は何しに来たんだ。
その疑問に気づいたのか秋人さんは口を開いた。
「中也に用があるんだけど…いるよね?」
「……今、部屋で寝てますけど…」
「じゃあ、起きるまで待たせてもらうよ。司、相手してよ」
「はあ…」
眠る司羽を抱いたまま俺と明人さんはソファーに腰かけた。
正直、俺は秋人さんがあまり好きではない。やっぱりその1つの原因である中也さんと美羽ちゃんをフランスに連れて行った張本人というより、中也さんが自ら決めてここに来たのだからすべて秋人さんのせいにできないけど…
でもやっぱり、もし秋人さんが中也さんのデザインを偶然見かけてなかったら日本を離れる事はなかったと思う。
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