どうしようもないひと

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どうしようもないひと

*** 好き勝手に遊び、浮気をし、生活費を入れず、家には帰らない父。 母や私達子供に野次られ、酒に酔って暴力を振るい、また家出を繰り返してしまう父。 私にとっては、父は。 『どうしようもないひと』だった。 母は父を、アル中と罵った。 父を全否定する母を盲目に信じた私は、父を罵った。 そんな、可愛いげの無い私に、父との思い出は少ないが、ひとつ、強烈な思い出がある。 自分の結婚式以来、父の顔を見ることは無かった。 それは、結婚して離れてしまったからではなく、例のごとく父が実家に寄り付かなかったためで。 ともかく何も知らずにいた私が父の入院を知ったのは、偶然、赤ん坊だった娘が同じ病院に入院したからだった。
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