Xデーまで一ヶ月

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私は伏見さんにこんなことを話して、何がしたいのだろう。 これではまるで先生に対して未練があるように聞こえる。これから恋人になりたいと思っている相手に話すようなことではない。 私のことを何とも思っていない、今ではまともに意思の疎通すらできなくなってしまった難解な先生のために、伏見さんのような非の打ち所のない人を手放してしまうなんて、馬鹿げている。 「ふうん。秋原さんのことを何とも思っていない、というのは、今のその彼には恋人がいるということですか? 結婚している、とか」 ズキンと胸が重く痛んだ。本当はもっとひどい。恋人も結婚相手もまばらでフリー同然なのに、私は最初から候補に上がっていないのだ。
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