十二年分の溺愛

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久遠くんはすっかり変わってしまった、今まで自分でもそう思っていたはずなのに、目の前の彼を見ていると、自然と昔のままだと思えた。 「……どういう意味で言ってんだよ」 「不思議なの。久遠くんといるとドキドキするのに、すごく安心する。昔から。今もそうだよ」 懐かしい空き教室の空気を思い出す。 久遠くんが思い出を詰め込んだこの畳の部屋は、あの私たちの秘密基地に似ていた。 「美和子、俺も、お前がいるだけで……」 その後、何度も体を重ね合った。抱き合うだけで、今まで離れていた気持ちが溶け合っていく。 久遠くんはこの晩ずっと、私に愛を囁き続けた。 それは彼の十二年分の想いなのだと思うと、もう二度と彼を独りにはしない、そう思うのだった。
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