また一から

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一時間半ほど新幹線に乗ると降車駅に到着した。 ロッカーに荷物を詰めて、そこからさらにローカル線で二駅移動する。降りてすぐのお花屋さんで、お供えの花を買った。 ここが久遠くんのお父さんの実家があるという田舎町。身軽になった私たちはふたり、お寺までの道のりを散策した。 「叔父さんのお家には寄らなくていいの?」 「いい。俺とあの人は、ほとんど関わりはない」 たしかにお葬式のときも叔父さんのご一家は直前まで東京へはいらっしゃらなかったようだから、蜜な親戚付き合いをしてこなかったのだとは予想がついていた。 今回も大型連休だというのに、叔父さん家に泊まる算段は特になく、一泊二日のビジネスホテルだ。 でも、別にいい。私は久遠くんがいれば十分だ。
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