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この日、先生から詰めていた原稿が終わったと連絡をもらい、いつものように先生宅へ向かい、それを受け取った。
居心地の悪い空気になると私は最後に逃げ出すのだが、今回はそうならないように、前回のことなど気にしていないという顔を努めた。
「先生。お疲れ様でした」
「ああ」
紅茶だけを淹れて、もはや定位置となっている先生の隣に腰かけ、先生から受け取った原稿と改めて向き合った。
先生の作品は男女の恋愛ものが多く、今回書き上げたものもそうだった。
彼は頭のどこを使ってこんなことを考えているのか疑問に思うほど、その作品は奥深い。
恋愛について根本から考えさせられるものだ。
とても女性を部屋に招いてはポイ捨てをしている男が書いているとは思えなかった。
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