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「はい、秋原です。良かった、会えましたね」
「ええ。お待たせしてすみません、伏見です。お仕事は大丈夫でしたか?」
「はい。木島編集長にニヤニヤ送り出されてしまいました。今日は定時帰りで」
写真ではフレッシュな印象だったけれど、会って話してみると落ち着いていて物腰の柔らかい人だった。
「すみません、僕たぶん、すげー舞い上がってます」
伏見さんは、しばらく並んで歩きながら、ふいにそう言った。
「伏見さん……」
体にピッタリと合ったスーツに、きちんとセットされた髪。
いつも目にしている久遠先生の、色気を駄々漏れにしたスタイルとは違う、清楚でキラキラした男性。
目の前の王子様のようなその人に言われ慣れていない言葉を何度も貰えるたび、心臓が破裂してしまうんじゃないかとワクワクした。
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