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Xデーまで一ヶ月
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それからの一ヶ月間で、私は伏見さんに三度お会いすることになった。
ディナー、映画、そして自宅マンション。順当に段階を踏んでいくタイプの、三種類のデート。
その間に、ネイルもピンクから、パールを乗せたヌーディベージュに変えた。
最初のデートは仕事終わりのディナーのみだった。
美味しいフレンチを予約してあって、伏見さんも私も、どちらも行ったことのないお店を選んでくれたという。
寒くなりかけの秋の終わりで、待ち合わせは都内のイルミネーションをくぐり抜けた先にある駅前広場。
デートでなければ寂しいに違いなかったが、今日は久しぶりのデートなのだ。
指定された改札を出て案内板の前に立っていると、写真で見た爽やかな男性が、キョロキョロしながらやってきた。
「……あの。秋原さん、ですか?」
私の前を通りかかると、伏見さんはすぐに気づいた。
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