蹂躙・残党狩部隊本隊編・鉄槌

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アイリーンが口を開こうとすると侍女達のリーダー格のフランシスカが穏やかな口調で先んじて言葉を告げ、残る2人も穏やかな表情で頷くのを目にしたアイリーンは目尻に浮かびかけた雫を指先で拭った後に頷きながら言葉を続ける。 「……分かりました、それでは心静かにその時を待ちましょう、私(わたくし)は幸福者です、クラリスや貴女達と言う配下を持つ事が出来たのですから」 アイリーンの言葉を受けたクラリスとフランシスカ達は深々と一礼する事でその言葉に応じ、一方ミランダは自分の周りに集まって来た虜囚となった7人のエルフの女兵士達を痛ましげに見詰めながら口を開いた。 「現在ロジナの獣どもは因果応報な目に陥っている、状況は不明だが、場合によってはこの陣営にまで類が及ぶ可能性がある、無論その状況は千載一遇の機会になる可能性があるが今の状態ではなす術無く骸を晒す可能性の方が高い、これまでよく戦い、そして筆舌に尽くし難い憂き目によく耐えてくれた、所属部隊はバラバラだが最期を貴女達と迎えられて幸福だった、ありがとう」 ミランダが汚され尽くしたエルフの女兵士達一人一人を静かに見ながら告げると、エルフの女兵士達は気丈な笑顔と共に頷き、その内の1人が少し緊張した表情で口を開いた。 「第四騎士団に所属していたハンナ・ヴァイセンベルガーです、わたし達もミランダ様と共に最期を迎えられる事を誇りに思います」 エルフの女兵士、ハンナが皆を代表してそう告げると残りのエルフの女兵士達も気丈な笑みと共に頷き、その姿を目にしたミランダは込み上げてくる物を堪える為に大きく深呼吸した後にハンナ達の前を辞した。 ミランダがアイリーンとクラリスの所に移動すると2人は穏やかな笑顔でミランダを迎え、ミランダはゆっくりと一礼したが頭をあげた時に2人の脇に小さな栗鼠がいるのに気付いて口を開いた。 「……その栗鼠はどうなさったのです?」 「……先程からアイリーン様の傍らにいるのです、どうやら迷い込んだ様ですね」 クラリスはミランダの疑問の声にそう返答しながら苦笑を浮かべ、アイリーンは慈しむ様な微笑みを浮かべながら口を開く。 「迷い込んでしまったのですか?可愛らしい迷子さんですわね、ですが、直ぐにここは騒がしくなりますよ、急いで森にお帰りなさいな」
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