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アイリーンがそう言いながら横に佇む栗鼠の頭を人指し指で撫でた刹那、栗鼠の全身が眩く光り、クラリスは咄嗟に弾かれた様に栗鼠から指を離したアイリーンに飛び付いてその身体を抱え倒した後に口を開いた。
「アイリーン様、お怪我はっ!?」
「だ、大丈夫ですわ、で、ですが今のは?」
クラリスの問いかけを受けたアイリーンが戸惑いの表情で応じていると、先程まで栗鼠がいた辺りの地面に光を帯びた五芒星の魔方陣が発生し、それに気付いたミランダは驚愕の表情と共にアイリーンとクラリスに声をかける。
「アイリーン様、クラリス殿、見てくれ、地面に魔方陣がっ!?」
ミランダの言葉を受けたアイリーンとクラリスは慌てて地面へと視線を向け、そこに出現した魔方陣とそこに記されている見馴れぬ形状の魔導文字に驚愕の表情を浮かべる。
「この術式の文字、まさか古代魔導文字!?ですが、この様な文字は見た事がありませんっ!!」
アイリーンが驚愕の声をあげているとそれに呼応したかの様に魔方陣が淡い輝きを放ち、次の瞬間には牢屋全体が半透明のドーム型の光の壁によって覆われてしまう。
「……これは、魔導結界!?」
「しかも尋常じゃ無い硬度です、恐らく魔法どころか物理攻撃にも耐性を持っていると思われます」
牢屋を覆う光の壁を目にしたミランダとクラリスは驚愕の面持ちで声をあげ、女エルフや狐人族の女達は呆気に取られた表情で牢屋を覆う光の壁を見詰めた。
陣営周辺上空・本隊
「……使い魔が牢屋に魔導結界を展開したわっ!!これで誤射の可能性は無いわっ!!」
……ありがたい、これで心置き無く屑どもを焼き尽くしてやれるな……
栗鼠に化けていた使い魔が牢屋に魔導結界を展開したのを確認したアイリスはミリアリアを抱えて羽ばたきながら傍らを飛ぶフォレンストドラゴンにその事を伝え、それを受けたフォレンストドラゴンが楽しげに応じたのに対して魔王に相応しい笑みを浮かべていると両者は陣営の上空に到達した。
残党狩部隊本隊・陣営・司令部
「一体あれは何だっ!?」
栗鼠に化けていたアイリスの使い魔が牢屋周辺に展開させた魔導結界、それを混乱する司令部から目にした陣営の指揮官の軽装歩兵大隊長が戸惑いの声を上げながら結界を見詰めていると、上空から冷たい声が響く。
「こんばんは、親愛なる屑ども達」
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