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あぁ、なんてことなの。
麗奈は絶句した。
「用はそれだけだ。雪奈にはこのことを喋ってはいけない。」
それは、この話を雪奈に話すと反対されて止められるのをわかっているからだろう。
「……………………はい。…失礼しました。」
そう言って、父の部屋を出た麗奈。
自分の部屋に戻った瞬間泣き崩れた。
自分は一体何なのだろうか。
取引を得るための道具でしかなかったのか?
雪奈は麗奈がいなくなっても大丈夫だろうか?
本当に島崎さんの甥っ子と結婚するのか?
もう自分には幸せなどと言う言葉は感じられないのだろうか?
今まで心の中にあった不満が一気に爆発した。
「…ふふ。」
乾いた笑みがこぼれた。涙と一緒に。
「死んでしまった方が楽なのかも知れないわ。」
そんな言葉がもれた。
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