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すっかり心が沈んでしまった麗奈は、父と話してから四時間がたち、すでに深夜一時を回っているにもかかわらず、フラフラと外へ出掛けた。
半分意識がなく歩いていると、居酒屋や、風俗店などがある大人の町へと来てしまったのだ。
「そこのきれーなおねーさん、うちで働かない?」
などの言葉にも耳をかたむけずに、なお歩みを止められない麗奈だった。
このまま、この夜に溶け込んでしまいたいわ。
あの綺麗な月のように。
麗奈はホウと、息をついた。
「こんなところでなにをしているんだ?」
心地良い低音が聞こえた。
自分に向けられた言葉ではないと無視をしていると
「おい、聞こえないのか?」
「私に言っているんですか?」
「あぁ、お前しかいないだろう。」
「あなたは、西条俊さん?」
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