第五章  ついに

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きっとあの話だろうと予想がついた。 コンコン 「入れ」 「失礼します。……お話しとは、なんでしょうか。」 「島崎さんの甥っ子のことについてに決まってるだろう。 この家を出て行くのは、明後日だ。しっかり準備しておけ。」 「明後日ですか?」 急すぎる。 「そうだと言っているだろう。 何度も言わせるな。」 「わ………かりました。」 そう言って、お父様の部屋を出た。 明後日?早すぎるわ……。 はぁ、っと、ため息が出た。 これから待ち受ける試練に麗奈は挑んでいかないといけない。 強い自分でありたいのに、どうしてか、西条さんの顔が浮かぶ。 西条さんに助けを求めようとしているの弱い自分がちらつく。 「私は……ダメねぇ。」 そんな言葉がもれた。
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