第五章  ついに

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という会話をして登校した。 いつもよりも、時間がたつのが早くて一時間過ぎるごとに、 時が止まればいいのに。 と、何度願ったことか。 とうとう下校時間になってしまった。 麗奈は、絶望した。 本当にお嫁に行かなくてはいけないの? いやっ! 私の人生はこれからでしょう? 神様。私に幸せなんて来ないの? 怖い。 「行くぞ。」 お父様が校門まで迎えの車に乗ってやってきたのだ。 「………はい。」 そう言って車に乗り込んだ。 「出せ。」 運転手さんに命令した。 車内は、しばらくの沈黙が続いた。 「お父様……お願いがあるのですが……」 「……何だ」 冷たい声で返ってきた。 「…私の結婚相手は、島崎さんの甥っ子さんでもかまいません。……でも、どうか雪奈には、自由な恋愛をさせて、好きな人と結婚して欲しいんです。」
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