第五章  ついに

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「やあ、島崎さん。 今日はよろしくお願いします。 こんな娘ですが雑用くらいは出来ると思いますので、なにとぞよろしくお願いします。」 お父様が島崎さんに挨拶をしている。 雑用か…。 「いやいや、宇京くん。こんな綺麗な子を甥っ子の正志(まさし)にくれるなんて、光栄だね。」 「いえいえこちらこそ、大きい取引ありがとう御座います。」 「2人の結婚が島崎と宇京の太いパイプとなってくれそうだね。」 「そうですね!」 二人してワハハと声をあげて笑っていた。 何がそんなに面白いのかしら? と思う感情を殺して、必死に笑った。 「宇京くん、そろそろ正志の所へ行こうか?」 「そうですね。 おい、行くぞ。」 「はい。お父様。」 逃げたい、逃げたい、逃げたい、今すぐにでもっ! でも、もうダメなのね。
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