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文句や愚痴も言うけれど、こうやって一生懸命に悩みながら誰かを想い、誰かに必要とされたり喜んでもらう事、やりがいを見つけて見返りを求めない彼女の姿や想いは…くだらねぇーなんて言えなくなっていた
いつも俺の人生は聞き役ばかりではあったが、これといって意見や感想、アドバイスなんてしてこなかった
そんなだいそれた人間でもないと思ってたし、正直どうでも良いというか自分には関係ない事だと思ってたからだ…相手も俺に聞いてもらいたいだけで、何かを言ってもらいたい訳ではないんだと思ってた
でも、どうしてだろう…彼女との生活で少しずつ何かを思い出しそうな俺がいた
仕事が終わったと言うといつもの缶ビールを持ってくるのを見てきた彼女は、そっと俺に渡す
「これ?ですよね♪ハクバさん、ハイどうぞ♪」
「ありがとう…てか、ハクバじゃなくて白馬ってハクマなんだけどっていつも言ってるだろ?!」
まるで何年も一緒に過ごしてきたかのように、自然に受けとる俺はなぜかいつもなら、どうでもいいと思うはずなのに、ありきたりな女子的な質問をしていた…
「王子ってさ、どんな人なの?どこが良かったの?」日頃の俺なら言わないような言葉に1人勝手に恥ずかしくなりながら、それをごまかし持ってきてくれた缶ビールをあける
「うーーーーーん…」と難しい顔をするシンデレラ
「え!?そこ悩むとこ??結婚してんだよ?!」グビグビ飲んでた俺は思わずビールをこぼしそうになった
「…いや、だって…何て言ったら良いのか…あの」と俺より先にビールも飲んでもいない彼女の頬が赤くなる
「どんな人かと言われたら…優しい人です…みんなに…素敵な方ですよ!毎日お忙しく仕事されながら、庭師の人にまで必ず声をかけたり、動物にも植物にも優しい人です…」
「イケメンで優しくて金持ってて真面目って、文句なしだと思うよ??」何だか聞いてる方が恥ずかしくて、つまみを探しながら俺は声をかけた
「そうなんですけど…みんなに優しいのが時々、寂しいというか…不安になるんです…」彼女は呟く
「何で??」いつもなら…そうなんですねーとか、大変ですねーとか、いろいろありますよねーとか言う俺が質問している…
きっと俺はもう少し飲みたい気分なのだろう…そう思いながら、リビングに座りなおす
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